何事も備えあれば憂いなし、とは言わないが、母乳の準備に関してはお産の準備より、やった甲斐はあるだろう。その人がどういうお産をするかは事前には全く未知数だが、赤ちゃんが飲み易いかどうか(母乳分泌の心配より、まずはコレ)はお産前でも一目瞭然だからだ。乳首の形状と柔らかさだ。結論に行こう。
乳首は赤ちゃんの好きな形に変えられる!
自分の身体を知る事から
人の身体は必要に合わせて柔軟に変化する。いい例がお産だ。わずか半日で、あの大きさの赤ちゃんが通れるまでに産道が拡がるのだから。
乳首も役割を果たすべく形を変えることが可能な部分だ。
とはいえ、いつもは胸の飾りでしかなく、その本来の目的を果たす期間は一生の中であまりにも短い。自分の乳首をマジマジと見たことあるかしらん?
女性は総じて若いうちは、自分の身体が嫌いである。
やれ脚が太い、短い、お尻が大きすぎる、胸ペチャ‥直視したくないとこだらけだ。
理想が高く、不満だらけ。だから自分の身体なのに可愛がってあげてない。私もそうだった。そのための知識が圧倒的に不足していた。
パッと見、キレイに見えることには一生懸命だが(本能で心がそちらを向くので仕方ないのだが)まだまだバランスが悪い。
私ぐらいのトシになったら、労わりしかないぞ。
妊娠・分娩は、忙しい現代の女性が自分の身体とちゃんと向き合ういい機会だ。
特に乳首の手入れで母乳育児の明暗が分かれる一部のママにとっては重要。
もちろん何も触らなくてオッケーという幸運な人もいるのだが。
あなたはどれ?乳首の種類
そこでまず、乳首の形状の種類を見ていこう。
乳首はやや硬く突き出た乳頭部分と、その周りの色素沈着している乳輪部分から成る。
問題は乳頭部分。これには4つの種類がある。
【通常の乳頭】
乳首はいつもはブラジャーの中でフニャっとしていて、乳輪との境目も分かりにくい。だが、寒い時とか指でつまんで刺激したりすると、ツンと硬く立ってくる。
そのたった部分が1㎝以上あれば授乳は普通にできる可能性が高い。
【短乳頭】
横から見た乳頭部分が、5㎜前後の場合。
【扁平乳頭】
横から見てほとんど出てる部分が無い。2~3㎜程度もこの部類だろう。
(扁平って言葉にはどうもネガティブなニュアンスあるよね。扁平足とか)
【陥没乳頭】
乳頭をつまもうとしたら、中央がまるで内側から引っ張られているかのように凹む。
乳首の奥に何か芯ような硬いものがある。
このなかでお産後すぐに授乳が始められる(赤ちゃんが乳首を吸える)のは、普通乳頭と短乳頭までである。
赤ちゃんは乳首を(乳頭だけでなく乳輪も。これ重要)舌で下からガッツリつかみ、つかんだまま舌を波打たせて飲む。トイレのスッポン、もしくは牛の搾乳機のように陰圧だけで吸い出しているわけではない。もちろん口腔内は陰圧にはなっているので、舌がからんでなくても吸われている感覚はあるだろう。
しかし母乳はそれでは吸えない。特に射乳反射が未だない新生児のうちは。
市販の哺乳瓶の乳首をよく見て欲しい。くわえる部分が親指の第一関節ぐらい(2.5~3㎝)あるでしょ?ママの乳首もそれ位の長さが必要ってこと。
そして赤ちゃんは乳頭部分だけでなく、乳輪も引っ張ってその長さにするのだ。
その認識を持ってママは授乳させないと、たとえ普通乳頭でも乳頭亀裂がおきかねない。
初期の乳首のキズの多くは『乳頭をくわえさせればいい』と勘違いしているママの浅吸いによるもの。『乳輪まで赤ちゃんの口に入れる深い吸着』が必須。
ともあれ、その為にはビヨ~ンと伸びる軟らかい乳首にしなくては。
余談:カンガルーは、お腹についてるふくろの中で赤ちゃんを育てるのは誰でも知ってる。妊娠期間はわずか1ヶ月で、2㎝位の人間でいえば超未熟な状態で産む。赤ちゃんはママの袋までよじ登り、袋のなかの乳首をくわえて6ヶ月まで育つ。スゴイのは次の赤ちゃんが生まれた時にまだ前の子が母乳を飲んでいることもある、ということ。子供二人は別々の乳首でそれぞれに合った母乳を飲むという。
乳首の手入れの実際
1.まずは自分の乳頭の種類の確認。扁平や陥没の可能性があるなら、早目(と言っても20週過ぎてでいいよ。乳首の手入れはどんなに早くてもこれ以降)にかかりつけ病院の助産師に相談を。
2.次に乳頭の柔らかさの確認。多くの人は乳輪は柔らかい、が乳頭はコロコロしてたり硬めだったりする。
組織は、異なる硬さでくっついているとその境目はもろい、という話を「キズの瘢痕」のところでも話したよね。
たとえば金魚すくいの紙。あれは大抵濡れた部分と乾いてる部分の境目が破れる。
乳頭が硬い人は乳輪との境目(くびれてシワがあるトコ)が、あかぎれみたいに切れやすい。
また乳頭が硬いと先端にも亀裂ができやすい。乳頭の先にかさぶたが出来ているのをときどきお見かけするが、だいたいこのタイプ。硬い古いゴムは伸ばそうとするとひび割れできるでしょ?
事前の乳頭のマッサージをお勧めする。
諦めるなかれ。最初にお話ししたように、乳首は変えられる。
入浴時でいい。乳頭部分を指でやさしくつぶすように揉む、または引っ張ったり。理想は唇ぐらい。(赤ちゃんだってコロコロよりフワフワのキスがお好き)
3.乳輪の柔らかさチェック。乳頭よりこちらの方が大事。
親指と人差し指で乳輪部分をつまんで押しつぶしてみる。乳輪部分だけで乳頭部分には触らないように。
上下でも左右でもいい。押しつぶした厚さ(親指と人差し指の間)が1㎝以上あるなら、あなたの乳輪は赤ちゃんに飲ませる準備がまだできていない。
薄くなれるという事は横方向に(つまりここでは赤ちゃんが引っ張る方向に)伸ばせるということ(ピザ生地のように。いやそこまでピザは好物じゃないって)
気が向いた時に乳輪部分を優しくつぶす。できれば全方向。どうしても上下はやりやすく、左右は硬く分厚く残りやすい。
「薄くな~れ、薄くな~れ♪」と言い聞かせながら(誰も聞いてない時ね)続ければ、乳首はあなたの期待に応えて変化していくだろう。
4.清潔を保つ。
乳頭と乳輪の境目のシワには汚れが溜まりやすい。ついお風呂でもいい加減に洗う所だ。汚れを放置してばい菌がたまると、ただれてヒリヒリする。そんな経験ない?
それとマッサージしてたら先から透明な,又は黄色い汁が‥。母乳です、ご心配なく。
妊娠中から母乳がにじみ出る人もいる。多くは後期におこり、母乳が良く出る人だ。
何か分からず、もしくは忙しくて(経産婦に多い)放置し、母乳がそこで乾燥し垢(ちちかす)になって乳頭にこびりついていることがある。
そうならない様に入浴時にはちゃんと洗っとこうね。
一番大事なこと!
これだけは頭に叩き込んでいてほしい。
乳首を触るとお腹が張りやすい(子宮収縮)ということ。
次のママたちは残念ながら、たとえどんな乳首だろうとマッサージは出来ない。
①早産の既往がある。切迫早産の診断をうけた。
②初期に切迫流産の診断をうけた。
③帝王切開と決まっている。あるいはその可能性がある。
④(37週未満で)お腹が良く張る。張り止めの薬を飲んでいる。
もちろん③の帝王切開予定以外、は37週以降になれば積極的にお手入れを開始して良い。避けたいのは早産だ。母乳が飲めない事よりはるかにこっちが深刻だ。
マッサージは最初はほどほどから始めよう。形状に問題なく柔らかくするだけだったら、産休に入ってからでも間に合う。
37週未満で、マッサージしてお腹がの張りが増すようなら37週まで待つこと。
あせらず、自分の身体と対話しながら進めていくのが肝心だ。
さあ、まだまだどんどんいきますぞ!
それではまた次回。ごめんなさいませ。


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