日本人は温泉が好きである。火山が多くあちこちで温泉が入れて、生活に根付いている部分もある。昔から『湯治』といって温泉に入る事は治療の一つだった。病気の原因や治療法が分からなかった昔も温泉で病気やケガが快方に向かうことを、経験的に知っていたのだ。
温泉は何故こんなに愛されているか
今は科学的に温泉の効用は認められている。
しかし、わざわざ温泉に行かなくても、入浴するという事だけでも多くのいい影響はある。特に今は多種多様の入浴剤が売られていて、家にいながら温泉気分は味わえる。
温熱効果や水圧効果で血行を良くして睡眠を促し、自律神経を整える。キズは洗われ、自然にデブリードメントになる。デブリードメントとはキズや潰瘍に付着している壊死・不良組織を洗浄し、治癒を促進するもの。今や手術後の創傷も消毒はせずに洗い流している。消毒薬のない昔はそうやって感染を防ぎながら自然治癒を待ったのである。
また、42℃以上の熱めのお湯でヒートショックプロテインの産生を増やして免疫力を上げたり、温泉成分を皮膚から吸収しての美肌効果や保温効果、皮膚殺菌効果。これらは自宅のなんちゃって温泉でも、やり方次第で得られる効果である。
だが、なぜ人は温泉地へ出かけていくのか。
それは『転地効果』と呼ばれるものだ。
人は日常生活を離れ、いつもは接していない自然に触れると五感を刺激されて、自律神経の中枢のスイッチが入ると言われている。これは脳内のホルモンを調節する内分泌系、呼吸、消化といった生命維持反応に影響を及ぼし、ストレス解消にも役立つ。Awe(オウ)体験である。
Awe体験とは人が圧倒的な自然を目にした時(大自然や大宇宙を目にして)ちっぽけな自分を感じる体験のことである。これによっての脳は活性化し、自分の自我(エゴ)が謙虚になって幸福感が増すと言われている。
また研究によってAwe体験を頻繁に行う事で体内のインターロイキン6の値を低く保てているという研究報告もある。インターロイキン6は身体が慢性的な炎症を起こしている時に出るもの。現代の身体の色々な不調や老化の促進がこの慢性的な炎症によるものだと最近分かってきた。
「空ってこんなに広かったっけ。」「木々の緑ってこんなに鮮やかだったんだな」
こういう気づきや感動が心と頭を潤していくのである。もちろんAwe体験は普通の旅行でもできる。日々の散歩でも意識することで多少の効果があるとも言われている。
昔から栄えた温泉地はだいたい風光明媚な療養地になっている。療養地として土地の人達の生業が立つのだから、わざわざ工業や商業を発達させて都市にする必要は無く、自然が残ったのだと思う。その自然と温泉効果が相乗作用となって温泉の『転地効果』を倍増させている。
この効果は滞在5~6日目からが最も効果があり、1ヶ月を過ぎると効果が低下するそうだ。もちろん1泊2日でも効果はある。気温や空気の違い、空や水の透明度の違いを体験するだけでもいいだろう。
温泉を守るために
さて、温泉に行く楽しみはそれだけではないよね。食事である。
温泉に入るとお腹がすく。そこでその地の美味名物を堪能するのはタマラナイ魅力だ。こういう時は何を食べても美味しい。湯上りに汗を良く吸うサラッとした浴衣を着て、友人、家族と「美味しい、美味しい」とたらふく食べる楽しみ。普段は健康に気を使って腹八分を心がけているが、この時だけは限定解除。
そしてお腹が落ち着いたら、また温泉。そして程よく疲れた身体をシワ一つ無いシーツに横たえて眠る。ああ、日本人に生まれて良かった!
しかし。
このコロナ禍で廃業に追い込まれた旅館は少なくない。人が密集した観光地はリスクがあるかもしてないが、温泉地はそこまで人は密集しないし、大浴場のような高湿度の環境ではウイルスはすぐ落ちて死ぬだろう。戸外である露天風呂はもっと安心である。
「不要不急の外出は‥」なんて国民の知能をバカにしているお上のいう事を間に受けて、温泉にも行かないなんて馬鹿げている。そもそも外出が悪いのではない。唾を飛ばして騒いだり飲食するのがダメなのだ。ゆっくり温泉に浸かり、ほのぼのと食事を堪能する。何も問題は無い。(5人以上がダメと言っているのは、5人以上だと騒ぐと思っているのかね。大人数で温泉行って宴会するのは論外だが)
人が集まるだけでアブナイというのなら、毎日のあの満員電車はどうなのだ。
ということで、日本の温泉旅館にエールを送る為に今週友人と温泉に行く予定だ。(本当はgotoで南の島に行く予定だったけど泣く泣くキャンセル。じゃ、近場の温泉に行こうという事に)
温泉は日本の宝。そしてたとえ100才になっても楽しめるアミューズメントである。
それではまた次回。ごめんなさいませ。


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