仕事始めました! ③お風呂で出来る事

 助産師として働いていた時、新米ママに赤ちゃんの沐浴指導をする。
 その時に「身体をキレイにするだけでなくて、裸になっているからよく見てあげましょう」と言う。異常の早期発見というやつだ。
 自分で自分の事が出来ないという点では、身体が不自由になった高齢者は赤ちゃんと同じである。そしてたとえ出来たとしても、自分を見れなくなった時点でも介護は必要になるのである。たとえば認知症とか。

 お風呂では自分から目を背けてはいけない?

 自分でお風呂に入ると、実はいろんな事に気づかされる。
 たいていは「思わず掴みたくなる腹の肉」「しょぼんと悲しそうな胸」「湯の中で揺れる二の腕の振袖」など、自分の身体の不満点が目に飛び込んでくる。
 濡れている為シワは目立たなくなってはいるものの、シミやたるみは隠せない。なんと現実はキビシイことよ‥。見たくない、目を背けたいことがてんこ盛り。

 ところで、最近観た老化に関連した情報だが、それによると老化の進行は緩やかな一定速度ではないのだと。研究結果では、多くの場合急激にガクンと進む時期が人生に3回あるのだそうだ。
 それは、34才、60才(‼)、78才の時。
 私は60才、まさに今ではないか!だから最近急にオバサン顔になった気がするの⁉

 この論文ではこの時期の老化を出来るだけくい止める為には、やはり睡眠・運動・食事と言っている。(やっぱ、それしか無いか)特に睡眠食事は大切で、睡眠が不足すると認知症リスクも上がるといっている。眠っている間に行われる脳のクリーニングが十分に出来ないからである。
 食事も適度な空腹時間が必要と。(今流行りのオートファジー理論だろうか)食べ過ぎは短命のもととはよく言われているよね。問題は当人が食べ過ぎと思っていない事だろうけど。

 無職生活のおかげで夜勤からは解放され、この半年は十分に睡眠がとれた。睡眠の充足がどんなに大事か気づいて、夜勤の無い仕事に人生をシフト出来てラッキーだと思っている。
 食事も今は毎日プチ断食(16~18時間)している。離職中は朝は10~11時に食べていたので、今はまだこの時間になったらお腹がギューと空腹を訴えてはくるが。
 これで少しは老化をくい止めれただろうか。

 私は老化は『気力の低下』だと思っている。
 何もする気が起こらない。新しいことを始めるのは億劫だ。人間関係が煩わしい。何に対してもあまり好奇心が湧かない。そうなったら、年齢関係なくかなり老化は進んでいると言っていいのでは。

 そして私位のトシになると、記憶にない青あざを時々発見する。ほとんどが入浴時にである。
 ぶつけた覚えは無いのにな、と首をひねる。以前産婦人科で仕事をしていた時は「お産でバタバタして分娩台のどこかでぶつけたんだろうな」と取り合えず自分を納得させて。(同年代の友人に訊いたら皆同じだった。記憶の無いアザは私だけじゃなかった!)
 血管がもろくなるとちょっとの物理的刺激で破れてアザができる。出血傾向になる病気もある。一応気に留めておこう。

 他には、思いがけずお湯がしみてのキズや爛れ。触ってみて肌のブツブツ・ザラザラ。入浴の時に気付くことは沢山ある。
 それらが『人に洗ってもらう事で気づけなくなる』のである。
 「キズがしみて」もあちこち痛い所がある高齢者にとっては、数ある痛みの一つでしかない。入浴時はメガネはかけないので、目視も出来にくい。

 撫でで欲しい!

 仕事開始2日目に介護施設の入浴介助をした。寝たきりの高齢者なので全介助である。
 そこで初めて介助用のお風呂を見て、いたく感心。
 浴室にある専用の車イスに移すとそれが上昇し、座面だけがスライドして浴槽のレールに乗って浴槽内に移動するのである。そして沈んでくれる。

 浴槽に移してからは介助者が手で洗っていくことになる。以前読んだSF小説の近未来のお風呂では、浴槽内に触手が沢山出てきて自動で身体を洗っていく、というのがあったな。
 しかし、将来お金持ちや高級ホテルが自動入浴機を設置することがあっても、介護の世界では無いだろうな。何故なら『見て』『触る』事が必要だから。

 入浴が大好きな要介護の高齢者は多い。温かなお湯に癒されるだけではなく『人の手に撫でられる気持ち良さが好き』と言う事も大きいと思う。

 人間には五感(視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚)のうちの触覚の大部分を担う皮膚感覚の役割は大きい。赤ちゃんでさえ、あまり触ってあげないとすくすくと育たないという(だから未熟児で病院の保育器に入っている赤ちゃんは、処置以外で撫でたりのスキンシップが必要だって)
 子供の時、親に頭を撫でられたり、痛い所を撫でてもらった事もあるだろう。
 それぐらい人は『人の手』を精神的に必要としている
 残念ながら、大人になって、しかも『いいトシ』になったら誰も撫でてくれない。
 「ヨシヨシ」と言いながら撫ででくれるAIロボットができたら売れるかしらん。

 入浴介助で手のひらで洗っている時の気持ちよさそうなお顔を見て、「自分はもう二度と爪を伸ばすことは無いな」と思ったのだった。

 それではまたね。ごめんなさいませ。

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