乳腺炎。読んで字のごとく乳腺の炎症である。乳腺組織で原因菌が異常増殖し、炎症を引き起こす。乳腺内はばい菌の天国だ。ママの体温の適度な温度、たっぷりの水分と栄養の母乳は大好き。暖かい所に牛乳を長く置いていたら腐るでしょう?それは牛乳の中が、菌だらけになったから。つまり乳腺炎は乳房の中の母乳が菌だらけになって腐っておきるという事。
結論:母乳はいつもフレッシュなものを!
乳腺炎とは
乳腺炎がおきると、痛み、発熱(38度以上の高熱が多い)、発赤、腫れがでてくる。
いきなり発熱(寒気や震え)から始まることもあり、冬場は風邪やインフルエンザと間違われることもある。授乳中の発熱は乳腺炎が最も多いと思う。夜間や休日などはまず乳房に異常がないか確認して、急患センターなどに行った方がいいだろう。
何故普通は乳腺炎は起きないか。
腐るというのは、菌がべらぼうに増えないとおこらない。ちょっとくらいは身体の免疫がやっつけてくれる。いつもは乳腺内に侵入しても菌がお仲間を増やす前に、「あ~れ~」と母乳と一緒にだされてしまう。そして赤ちゃんの胃酸や免疫でやられる。
お分かりだろうか。乳腺炎はほとんどの場合、菌が増える時間を与えるとおきる。
つまり母乳を出さない・出せない状態でおきるということ。
通常授乳は3~4時間ごと(新生児の時は2~3時間ごと)だ。離乳食が進むともっと時間は開いてくるかもしれない。
乳腺炎はどれくらいでおきるか?牛乳を37℃位の環境に放置してたら、どれ位で腐るか。それが答えだ。
個人差はある。ママ自身の抵抗力との兼ね合いもあるだろう。他の病気もそうだが、精神的・肉体的ストレスで免疫力が落ちていたら、その分早いかも。
乳腺炎になりやすい時とその対応
それでは母乳を出さない・出せない時とは。
1.出さなかった時 夜間つい寝てしまって、授乳が1回とんだ(子も起きなかった)
外出や来客で胸を出しにくくてミルクをあげた。
体調が悪くて授乳をしなかった。
断乳前に職場復帰して搾乳ができなかった。
2.出せない時 乳腺がつまった。(しこりができた)
白斑ができた。
「眠たくても体調悪くても授乳しなきゃならないの⁉」
そうなんです。でも授乳しないと今度はおっぱいがトラブるんです。
インフルエンザでも抗ウイルス薬使いながら授乳できる。逆に内科とかで処方が出たときに「おっぱい飲ませないで」という医師がいる。今はそんな薬の方が少ない。産科か小児科に確認を。
「外出も仕事も制限があるの⁉」
工夫が必要です。最悪4時間以内に圧抜きか搾乳してね。
「圧抜き」はパンパンに張ったおっぱいを少し絞って緩める事。しっかり搾乳出来ない時の応急処置。
母乳は流れる川にたとえられる。「流れる水は腐らず」このことわざどおり。
なるべく1.のようなことは避けよう。時間はあけても4時間まで、をお勧めする。
それではなぜ授乳をとばすのはダメなのか。
母乳はずっとつくられ続けている。3時間なら3時間分。6時間なら6時間分。(母乳のでき方は厳密にいうと最初の1~2か月とそれ以降は違うのだけど)
1回とばした後の6時間分の母乳を子は全部一度に飲めるだろうか。
飲み残して、母乳は時間がたった古いものとなる。
また、1.は2.の乳腺の詰まりをひきおこす。古い母乳は詰まりやすい。
搾乳する機会があれば、数時間置いた母乳をよく見てほしい。分離して上澄み部分と沈殿部分に分かれている。この分離は乳腺の中でもおこり、(搾乳したら筋状に出る)沈殿しドロドロの母乳は細い乳腺を詰まらせる。
詰まるとどうなるか。そこから先に母乳が進まなくなり中で溜まってしこりになる。
しこりの中の出せない母乳で菌が増えていくのだ。
もう一度言おう。乳腺炎は菌の繁殖時間を許した古い母乳でおこる。
毎回きれいさっぱり子が飲み干してくれたら起こりにくいが、それは難しい。
乳腺炎は良く出るおっぱい(多乳)のママがなりやすい。
何故なら子に飲ませても飲み残りがち。
だから必要以上に母乳を作らない様、コントロールが要る。それは産後3日目に来る乳汁うっ積の「おっぱいの法則」を思い出して。
①甘いもの、高カロリーはほどほどに
②温めたり(長風呂注意)揉んだりしない。
③張りすぎるときは冷やす。
これに付け加えて
④搾乳もほどほどに。おっぱいは、出した分だけ必要だと判断してまたその量を作ろうとする。搾乳のし過ぎはいわゆる「張り返し:出した後に急激に張ること」を招く。
こうやって出来るならいつもフレッシュな母乳をのませよう。
もう一つ、古い母乳でなくてもなる時がある。
それは外から大量に菌が入ってきたとき。清潔でない指や乳首のキズ、ママパッドなどから。ちょこちょこ飲ませてるし、食べ物気を付けてるし、しこりもない。それなのに‥の時、そちらはどうだろうか。
私は一人目のとき乳腺炎になった。育児で疲れた私に夫が「ピザを取ろう」と言ったのだ。おっぱいに悪いと知りつつ、久しぶりにコーラと一緒に堪能した。その翌朝には発熱し詰まっていた。飲ませたり、絞ったりするとビリビリと電気が走るような痛み。
乳房を冷やしながら、泣きながら何度も自分で搾乳したのを覚えている。
食べ物だけが原因ではないだろう。トラブルというのはたいてい、幾つもの原因が重なって起きる。原因不明(本人にとって)の事のある。
しかし「危うきに近寄らず」にこしたことはない。
そんな菌まみれの母乳飲ませていいの?と時々聞かれる。
いいんです。むしろ赤ちゃんに飲ませなければ悪化する。
乳腺炎治療のメインは「悪い母乳は早く排出させる」こと。どんな助産師も赤ちゃんより上手に母乳を出すことはできない。余程重症で乳質が悪くなってなければ、せっせと授乳すること。乳腺炎を治すのは赤ちゃんなのだ。
もし詰まっただけなら?(まだ乳腺炎になっていない)
射乳反射が詰まりを取ってくれることもあるので、1~2回授乳して様子を見よう。
それでも変わらない、またはしこりが大きくなっている(痛みが増す)なら医療機関へ。乳房外来は昼間だけの所が多い。乳腺炎は夜悪化するので、必ず昼間のうちにみてもらおう。
白斑(乳口部の白い斑点)ができたら?
そこは化膿してるか詰まっている可能性がある。やはり医療機関で一度観てもらう事。
授乳期間はひとそれぞれで、長い人は2年近く母乳をあげている。いつ卒乳してもよいが、母乳をあげてる限りは乳腺炎になる可能性があるという事を忘れずに。
どうぞあなたが乳腺炎になりませんように。
それでは、ごめんなさいませ。


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