まずは自己紹介。30年以上助産師やってて、めでたく還暦で定年退職でパートに移行したとたんにコロナでパートの首切りに会い失職。7ヶ月のハローワーカーを経たのちに訪問看護ステーションに再就職しやっと1年3ヶ月の62才(2月生まれです)。
どうして訪問看護師になったか
看護師免許は持ってるけど、看護師経験は最初就職した病院での研修1年と、その後その病院の産科が潰れて内科・整形・眼科に回され石の上にも3年の我慢がきかずギブして産科クリニックに転職するまでの2年の計3年のみ。
何の仕事もそうだろうが長年やってきた仕事じゃなければ免許があっても素人同然、医師だって『自分の専門以外はよう知らん』状態の人もいる。勿論医療の基礎知識はあるも日進月歩の治療法、薬、検査方法は実際携わっている方々も日々勉強して行かねば仕事にならない状態である。携わってなければ「あれ、そうだったの」である。
なのに30年以上の助産師としてのキャリアを捨てて全く新人同様の世界に飛び込むなんて自分の能天気さにつくづくあきれ果てたが、そんな私を面接で即決で雇った会社もチャレンジャーである。この1年の多くの失敗や紆余曲折を経て、会社の上の人はやっと私の職場での適性を掴みつつあるようだ。
そう、私は看護師には、いや医療現場には向かない人間なのである。
そもそもどうして助産師を止めたか。人の痛みが苦手だからだ。だから注射も苦手、麻酔がかかってると分かってても肉がザックリ切られるのを見るのも苦手。それでも助産師が続けられたのは他の仕事を知らないのと苦しむ患者の力になりたいと思う気持ちゆえだ。
そしてコロナでリストラ、転職のチャンス。実際医療以外の選択もアレコレ考えた。だけど60超えたオバサンが今更何ができるだろう。看護職以外は経験がないのだ、収入的にも最低賃金レベルの仕事しか無いだろう。
助産師するのが一番楽、それは分かっている。でもまた苦痛と向き合うのか。その上30年以上やって来たとはいえ、所詮クリニックレベル(そこで無難に終わろうと思ってはいたのだが)。重症は大学病院や医療センターに搬送するから、正常に近い分娩をただ繰り返すだけでそんなに専門知識が自分に貯まっているとも思えない。キャリア年数を言うのも恥ずかしいぐらいだ。だからといって全く未知に近い他科にとびこむかって話だけど。
訪問看護師のメリットは
最終的に訪問看護を選んだのは
①訪問看護であれば難しい検査や手術もないし医療行為も限定されるだろう。それだけ痛がる人を見る機会が少なくてすむかも。
②夜勤が無い(と思っていた。実際は緊急事態コールや見とりなどは夜間もある。でも短時間で一晩中という事はない)。無職生活で夜勤の無い規則正しい生活がいかに人間には必要だということを思い知ったからね。
③ある程度勤務量の調整がつく。基本訪問時間は30分から1時間でプラス往復の交通時間。1日4~5軒回る(急なスタッフの休みや緊急訪問で6~7件になることも)。最初は趣味の関係で半日だけの仕事もオッケーだったが、やっぱり仕事が気になって趣味が楽しめないのでその後趣味の日と仕事日は分けることになった。
④ほぼほぼ女性ばかりの職場で気が楽。この職場では男性職員が一人いるが気の優しい理学療法士のお兄ちゃんである。ヘコヘコしないと機嫌が悪くなる医師としょっ中顔を合わせずにすむ。いや、前の職場の医師がそうだったとは言わないけど。
⑤そして何よりもコロナ禍で、またアフターコロナの世界でも、人はお家で死ぬのが一番だと実感したからである。その為には訪問看護は必要不可欠でやりがいがある。
刑務所と呼ばない刑務所⁈
「いやいや、ウチはみんな仕事や学校があって病人の介護なんてできないよ」という人もいるだろう。でもまだ若い方に想像は難しいだろうが、自分が死ぬときは愛する家族と過ごしたくないか?「病院に入れとけば、施設に入れとけば安心」と安易に思っていないか?現実病院や施設のスタッフは生きていく上での最低限の事しか出来ない。その時間しか無いのである。ひげや髪を日々整える、爪を切る、足がだるい時はさすってあげるなんてまず無理なところが多い。ましてや話相手になる時間もままならず、孤独な高齢者は徐々に認知機能が落ちていく。私の父はガンで数か月入院したが面会に行った時はもう私が誰だか分からなくなっていた。
今や『サービス付き高齢者住宅』もあちこちに出来て、いざとなったら職員が対応してくれると家族は安心して高齢者を入れる。ソコに適応できて楽しく暮らしておられる方もいるが、このコロナ禍で外出も面会も制限され「ここは刑務所か!」と叫んだ入居者がいたとか。
「おウチで死にたい死なせたい」この思いは実際に在宅での見とりを知ってますます強くなった。せめて末期位は介護休暇をとって一緒に過ごされたらいかがだろう。本人の「家で・・」の気持ちを受け入れて最後の数週間を自宅ですごすために病院から連れ帰ったケースの援助も多くやっている。
今は末期の疼痛コントロールも上手く出来て、最後はほとんどうつらうつら眠っている。時々目が覚めた時は家族やお別れに集まってきた親族と会話をかわし、最後は家族のなかで眠る様に息を引き取る。家族は穏やかに話しかけながら人生をねぎらい、身体を拭いたり着替えさせたりする。それらも看護師が付いているから安心だ。ある訪問看護師は泣きながらもにこやかに見送った家族を見ていつも「ああ、よかった」と思うそうだ。
おウチが一番!そのために訪問看護師は頑張っている。
それではまた次回!


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