よくある質問。「もしあなたが明日死ぬとわかったら(もしくは明日地球が滅亡すると知ったら)あなたは今日何を食べますか?」
人間が有機生命体である限り、必ず終わりがあり最後の食事がある。広義でいえば食事とは身体に栄養を入れることだが、ここでは『口から、食品を食べている事を意識して食べること』と限定で話をしよう。輸液や経管栄養は除いて、ということ。咀嚼して、美味しい(または不味い?)と感じながら飲み込む行為である。
あなたの『美味しい』は本当か
人間の身体面での3大欲求であるところの食、睡眠、性の一つ『食べる事』。健康体であるうちは自然に腹が減り食べずにはいられない。食べ物は見るのも嫌、と言うのは病気の時か妊婦のつわりの時ぐらいだろう。しかし人生の終わりには必ずそういう時がくる。それが突然の事故死ではない限りね。病気でも老衰でもだ(まれにピンピンコロリも無いわけではない)。
生物はつまるところ一本の消化管であるという言葉を聞いたことがある。食物を取り込む入口と、栄養を吸収したあとのカスを出す出口とをつなぐ一本の管に過ぎないのだと。人も例外でなく特別な生き物じゃないんだよ?という意味だったか。
しかし種の保存の為に進化はこの摂食という行為に特別な快楽を与えた。味覚である。勿論この感覚は毒を食べないためでもあるが、その中で『美味しい』という感覚は脳内麻薬の分泌を引き起こし人間を簡単に中毒に引きずり込む。
「えっ美味しいと思う事はいけないの?」と今思った?それが中毒のせいでなければ問題はない。
砂糖中毒という言葉をご存じだろうか。
美味しいという感覚は年齢性別関係なく平等に万人が得られる快楽なだけに、現代はこの中毒者で満ちている。グルテンやアルコールや添加物など食品の中毒は幾つもあるが一番は白い悪魔とも言われる砂糖や糖類である。今や加工食品に糖類の入っていないものはほぼ皆無といっていい。糖類の甘みに人は本能的に『美味しさ』を感じるせいである。品種改良で野菜も果物も糖質が増し、現代人は甘くない食品はもはや美味しさを感じないのでは?と思う程だ。もしあなたが素材は良いのに塩コショウだけで味付けされたものを美味しくないと感じるなら中毒予備軍を疑ってみてもいいかもしれない。中毒の恐ろしいところは欠乏すると他に何も考えられない程激しく欲し、満たされる時の一時の快感を経てまたそれ以上の快感をを求めて必要量が永遠に増えていくことである。
遺伝子的に糖尿病になり易い日本人は特に要注意なのに、和食が世界的にも稀有な、おかずに甘い味付けをする料理だなんて皮肉な話である。
砂糖を敵視してる訳ではない。私も甘いお菓子は大好きである。要は適量であること。砂糖中毒はタバコやアルコールの中毒と同じくらいかそれ以上に害がある。糖尿病の怖さや癌や認知症のリスクを上げることを知っていたら。
しかし中毒にならない程度に快楽を楽しめるとはなんと幸せな時代の幸せな国に生まれたことか!昨今の世界情勢をみたら特にそう思わずにはいられない。
最後の食事も甘いもの?
訪問看護でも時々みかけるが、闘病生活が長く食欲が落ちた患者さんでも「寿司なら食べれる」とほんの数カンでも召し上がることがある。すし飯の適度の甘さと軟らかさ、慣れ親しんだ醤油の味が海産物の脂と絶妙に調和した料理である。昨年亡くなった私の義理母がガンで入院していた時も、差し入れのリクエストは寿司やミニ海鮮丼が多かった。病院では生ものが提供されないというのもあっただろう。食べれないと思うと尚更食べたくなるものである。すし飯の甘さ(糖分)を病気の身体が欲しているのだろう。果物を欲しがる場合も多い。
私は仕事で幾つもの人生が終わっていくのを見ながら、誰にでも何にでも最後があるという事実を忘れて生きている事に時々気付く。「これを食べるのは最後かもしれない」と思うと、そう美味しいとも思わないいい加減なもので済ますのはとってももったいない気がしないか?
いや、ジャンクフードも美味しいだろう。美味しいと思いながら食べているのなら。でも何かしながら食べていないか?テレビや携帯や仕事のPC画面を見ながら。そうして『美味しい』という感覚を脳に十分送り込んでいないが為に食べ過ぎていないか?食べ過ぎた食品を消化させるために身体が疲弊していくのを気付かないまま。
前述の「最後の食事」の話に戻ろう。私も‥メチャクチャ好きという訳でなくあえて選ぶなら新鮮な生魚だろうか。刺身定食か海鮮丼か寿司。そんなアレコレを考えながら最近急に寿司が食べたくなってスーパーで買った寿司を食べた。どうせ食べるならとそこで売っていた各種握り寿司セットのなかで一番お高いの(といっても一人前1500円位?)をケチな私にしては奮発して買ってしまったのである。まあ、何でも値段だけあって、マグロ中トロ、トロサーモン、本物のイクラ(だって粒が不揃いだったもん)、長いしっぽのアナゴなどネタは良かったが‥失敗。シャリがいただけない。作りたてじゃないので冷たく固かったのだ(当たり前だよね、まだまだ私も考えが甘い)。握り寿司のシャリってほんのり温かくて、口に入れるとほろりと解けて。若い時はそこまで気にならなかったのに、最後を意識したとたんコレか。(エンゲル係数は上がってますけど。ぐすん)。でも「メチャ美味しかった!」という記憶は財産だ。よし、今度はちゃんとした寿司屋に行くぞ!ボーナス出たらね。
あなたなら最後に、何食べる?
それでは、またね。


コメント