頑張って頑張っていきみを繰り返して、やっと「赤ちゃんの頭が見えてきたわよ!」と助産師に言われる。本当にもう少しだ(嘘じゃなく)。
ここに来るまでに赤ちゃんは骨盤の一番狭い場所を通り抜け、心拍数は一時的に落ちるかもしれないが、何とかここまできた。
ママの会陰も赤ちゃんの頭で少しふくらんでいる。
で今回のテーマはちょっと痛~い話。
初産婦は必ず会陰切開をする? 結論:可能性が高いが必ずではない。
出産間近になったら
ママがいきんだ時出口が少し開き、赤ちゃんの頭が(ふつう髪の毛)が見える状態を排臨という。ここにきたら助産師もめっちゃ嬉しいし安心する。
なぜなら、もし赤ちゃんが急変しても吸引分娩が出来るからだ。(吸引分娩:赤ちゃんの頭にカップをつけ、陰圧で引っ張ること)
お産中はいつ赤ちゃんの状態が悪くなるかわからない。
生まれて肺呼吸を始めるまでは、赤ちゃんの命は臍帯(へその緒)一本にかかってる。臍帯の中に流れる血液の酸素で呼吸しているから。
この臍帯が赤ちゃんの身体で押しつぶされたり、きつく巻き付いたりして血流が妨げられたら、赤ちゃんはすぐ窒息してしまう。まさに命綱!
とくにお産中は赤ちゃんの体位が動くからその危険性がある。
余談:お産が近くなったり始まったりしたら赤ちゃんの胎動が鈍るという都市伝説があるが、赤ちゃんが骨盤内に下りて分かりにくくなるだけ。生きてる限りは動く。
赤ちゃんの状態はずっと胎児心拍モニターで監視してる。もし排臨以前に「赤ちゃんがあぶない!すぐ出さねば!」となっても、すぐには出せない。帝王切開以外には。
でも帝王切開でも直ぐ(5分後10分後とか)できやしない。スタッフかき集めたり準備すすめる間にもっと悪くならないかとドキドキハラハラ。だから排臨になれば「これで何かあっても帝王切開しなくてすむ~、安心~!」である。
よく「押したり引いたりされた」と聞いたことがあるかもしれないが、そういう時は赤ちゃんの状態が良くなくて急いで出す必要があったか、排臨位の所でお産が頑として進まなくなった時なのだ。
お産の時どうだったか、何があったか知りたいなら遠慮なく助産師に訊こう。
でもあんまり訊かれた事がないのは、ママが訊いちゃいけないと思っているのか、それとも思い出したくなくて訊かないのか?一応私は説明するが。
経産婦に前回のお産の事を尋ねたら『何かかよくわからないうちに赤ちゃん出された』といわれる事があるぞ?何があったか訊いとこうね。
会陰切開は必要?
陣痛の度に少し出たり、少し引っ込んだりしていた赤ちゃんの頭はそのうち出口にギッチリはまる。これを発露という。
さあここで選択問題です。
①あなたは出口にキズができても、早く赤ちゃんを出したいか。
②それとも時間かかってもキズはつくりたくないか。
答え:あなたが初産婦なら①を選択。②は難しい。
理由は以下の通り。
1.医療が発達してない大昔、お産の時のキズは出血や感染症の原因となる。
それはママの命に関わるので極力キズができないよう時間をかけて出口を拡げた。
たぶん分娩第二期は今より1~2時間は長くかかっただろう。
まずあなたはそれを待てるか?という話である。ふつう待てない待ちたくない。
2.当然その時代はモニターはないので赤ちゃんの状態はわからず母優先。
だが今は赤ちゃん優先の時代。ストレスかけずに早く出してあげようとなってる。
3.仮に時間かけたとしてもキズができない保証はない。
初産婦でキズができる確率はたぶん90%以上。最初お産ではおニクは伸びにくい。
「そうか、じゃあ仕方ないけど発露でサクッと会陰切開すればいいのね?」
と思ったあなた。う~ん、まだ選択しなきゃならないことが。
会陰切開するか、自然裂傷にするか。
「えっ?どうせ切れるんでしょ?自然にギザギザに切れるより会陰切開できれいに切ってもらった方が、キズあともきれいじゃないの?」
ここで知っててもらいたいのは 細胞は記憶する という事。
たとえば心臓移植。移植された人は何故か移植後、心臓の持ち主だった人の嗜好や性格が出で来るなんて例が多数報告されている。記憶するのは脳だけではないのだ。
最初のお産の時の状態を記憶した子宮や産道の細胞は、次のお産の時に「ああ、そうだったね」と思い出し、すみやかに伸びて広がる。だから経産婦はお産が速いのよ。
で、会陰のキズの話に戻る。
会陰は発露になってから赤ちゃんの頭に押されて物理的に伸ばされていく。
細胞は経験しないことは記憶もしない。多少は「伸びました~」という記憶がなければ次も伸びにくいわね。
それと伸びるということは薄くなるという事。ピザ作ったことある?ピザ台伸ばすと薄くなるよね?あんな感じ。
発露ですぐ会陰切開入れるのは、まだ分厚く硬い時に切るという事(ステーキ肉と薄切り肉を切るの違い。例えが悪かったらゴメン!)
キズ縫うのに時間かかるし産後も痛い。次のお産も伸びにくい。
「わかったわ。じゃあ自然裂傷がいいのね。」
すみません、やっぱりケースバイケースなんです。
たしかに自然裂傷にしたら一番薄いところ(出口の薄さは360度均一ではない)にキズが入る。キズは浅いぞ!である。ただそこは肛門方向になる可能性が高い。オシリまで切れるリスクがある(リスクだからね!赤ちゃんが大きいとねー…。)
そしてギザギザに切れるリスクも(あくまでリスクです!)
なのでどこまで伸ばすか、会陰切開を入れた方がいいかどうか、(医師に)入れてもらうのならいつか、を判断するのが助産師の仕事なのだ。
もちろん赤ちゃんの命が‥!の時はどんな手を使っても一刻も早く出すので、今までの話は全部忘れてね、となるが。
わお!赤ちゃん生まれる所までたどり着けなかった。すみません。
次回こそ! それではこれでごめんなさいませ。


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