60才からの美容術 ⑪日常に「晴れの日」を持て

 卒業式や結婚式のスピーチでよく「このハレの日に‥」という言葉を聞くだろう。「ハレ」は一応「晴れ」とは書くがもちろんお天気のことではない。「晴れの日」は日本では昔から『多くの祝福される儀式などの日』『人生の記念すべき日』の事で、その時に着る上等の服を『晴れ着』と呼んだ。

日本人の消えゆく「晴れの日」

 たとえば正月である。前日までは大掃除や、おせち作りで忙しく働いて年神様をお迎えする準備をするが、元旦の朝には家族全員晴れ着を着て、厳粛に挨拶をし、お屠蘇を飲み、いつもは使わない漆などのいい食器(お箸もそれ用よね)でごちそうを食べる。そして初詣でから帰ると子供は羽根つき、福笑いやすごろく、コマや凧揚げ。大人は新年の挨拶に行ったりお迎えしたり。教職の方とか、教え子が沢山来てたいへんだったそうだ。
 かっては正月は日本国民全員の晴れの日だった。ほとんどの人は仕事は休みで、開いている店なんて無く、働いているのは神社仏閣と交通関係ぐらい。その間だけは仕事をしないで、いい服、いい食事を楽しめたし、子供はお年玉を貰えて、本当にみんなが楽しみにしていたのだった。

 そして、終わればまた日常に戻る。労働の服、普段使いの食器、いつもの簡素な食事。一年のほどんどをそうやって過ごす。だからこそ晴れの日が輝いていた。生活が豊かではないからこそ、生活にメリハリをつけることを楽しんでいたと思う。

 だが、今はそれが無くなりつつある。生活が豊かになったためでもある。ごちそうもハレの日だけのものではなくなった。ハレの日でない日常を「ケ(褻)の日」という。今はハレの日と言えば、辛うじて個人のセレモニーにあるだけで、国民の祝日はかってのような晴れの日でなくただの休日。昔は家々の玄関には日本国旗が立ち並んでいたのに。(国旗や国歌が軍国主義の象徴みたいに言われたのが原因かね?私はあの静謐な感じが好きだったのだけど)
 正月はみな大型ショッピングセンターに出かけて消費をする日になってしまった。サービス業は軒並み仕事をしてて、正月なんて関係ないという人も大勢いる。残念。

女性の晴れ着「よそいきの服」は何処に?

 それと同時に女性は「よそいきの服」と「普段着」の区別もあいまいになってきた。どこに行くのも同じような感じ。「よそいき」として定着していた着物がまず無くなり、次にスーツやワンピース。持ってない若い世代も多い。「普段着用の綿やジャージー素材のワンピはあるけど。どうせフォーマルなものは数年に1回のお式の時しか着ないから買ってもね‥。」

 それを痛感したのはオペラを見に行った時。もともとヨーロッパではオペラやクラシックのコンサートなどは上流階級の人々の楽しみで、その会場は社交場でもあった。特にオペラは舞台と観客が一体となって華やかで雅な雰囲気だ。幕間にワインやシャンパンを楽しめる所もある。海外旅行でオペラに行かれた方はご存じだろうが、ヨーロッパではいかにもな普段着(スウェットやジーパン)では入場できない。(絶対ではないが、常識がないと白い目で見られる)実際冬場でもノースリーヴのフォーマルな装いのご婦人たちも多かった。(NHKが毎年正月に放映するウィーン・フィルハーモニーの新春コンサートの観客をご覧あれ)

 しかし当然日本ではそんなことは無い。もちろんドレスコードは無いし、そんな歴史も無いのだから仕方ないのだが。仕事帰りや学生さんかな?の女性達が「いつもの普段着でお気軽に」ぞくぞくとホールに集まって来るのを見て、少々残念に思うのである。

 私は『舞台』が好きである。オペラ、ミュージカル、演劇など。決して安くはないが、行くまでのワクワク感、その場の空気、その後に何か飲食しながら一緒に行った人と感想のおしゃべり。その全てが好きで楽しみたいのだ。舞台の演目だけ観て終わり、なんてもったいない。昔の日本の婦人達も「お芝居に行く」というのはそうではなかったか。

 だからちょっとおしゃれをして行く。(行く場所にも合わせるが。私は福岡に住んでいるが、それが合うのはアクロスホールか博多座ぐらいかな)普段着でないワンピースや新調したブラウスとか。アクセサリーも当然付ける。

「ハレの日」は自分で作る!

 そのほかで残念に思うのは、職場の納涼会や忘年会の時。(忙しい子持ちの主婦は出席だけで精一杯なのだろうか)普段着でノーアクセサリーは珍しくない。食事で汚れるかもしれないし、相手が気心が知れてるせいもあるだろうが。いや、フォーマルを着れとは言ってないよ?
 でも、そういう時にオシャレしないといつするの⁉と思うのだけど。

 つまり若い世代の女性には「ハレ」と「ケ」の区別の意識がないのだろう。
確かに忙しい主婦にはオシャレは面倒だ。「よそいき」も安くない。いえ、服の値段ではないのですよ。もちろん何枚も買える経済力があるなら、いろいろ取り揃えていいだろう。だが予算に限りがあるなら、それ1枚着たらそれで完結なんて個性的な服を買っても着回し出来ないではないか。
 「よそいき」はハイクオリティな雰囲気の演出である。シンプルな上質なワンピース(ノースリーブか半そで)が1枚あれば、アレンジは多種多様。アクセやストール、上着などでガラッと変わる。。それは女度を何段もアップさせる。その演出がめんどくさいと思うのが、もう「オバサン思考」である。

「めんどくさい」には「良いめんどくさい」と「悪いめんどくさい」があると思う。
家事などの要らない「めんどくさい」手間を省くためのは時短や効率の良さにつながって良いと思うが、おしゃれや我が身の健康や美の為にすることを「めんどくさい」と思いだしたら、後は落ちていくばかりだと。

 なにも近所に買い物に行くとか通勤とかに気合を入れる必要はないが、月に1度位は自分で「ハレの日」を演出する日を作ったらいかがかな。そしてハイクオリティな所に行けばもっといい。フレンチレストランやホテルレストランのランチとか。デパートのウィンドウショッピングでもいい。オシャレはしないと上手にならないどころか、忘れ、億劫になってしまう

ハレの日」「ケの日」。どちらも必要だ。このメリハリが女性を美しくすると考えている。

それではまた次回!ごめんなさいませ。

 

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