誘導分娩ってどんなもの?その② -オキシトシン点滴-

風船ブジーや内服だけで陣痛発来し、お産になることもよくあるが、やっぱり誘導のメインはオキシトシンの点滴である。
オキシトシン~産前産後に子宮を収縮させ、母乳を出し、愛情をもたせるホルモンだ。本来なら身体がお産モードになったママに何等かのスイッチが入って、どーっとこのホルモンが血中に放出されて陣痛が起こる。
これを点滴で血中に入れるのだ。今回の結論。

オキシトシンは必要なときは救いの神

ここ何十年もこれ!オキシトシン点滴

オキシトシン点滴の利点は多い 
① その人に合わせた適量を調整できる。
  薬の効き方は様々だ。ほんのちょっとでももの凄く効く人もいる。
  これは輸液ポンプを使ってごく微量から開始し、定期的に少しずつ量を増やす。
  そして陣痛の状態が最適なところで注入量をキープし、お産にもっていく。

② 高確率で陣痛が起きる
  (私が思うに)陣痛が起こる確率は80%以上だ。(ちゃんとした統計あるかも)
  たまに、1日目が不発でも2日目のトライで陣発、というのもよくある。

③ 直ぐに中止できる。
  陣痛が強すぎたり、赤ちゃんの状態に異変があったりしたらすぐに中止もできる。
  そういう時は直ぐに何も薬剤が入ってない点滴に切り替え、血中濃度を薄める。

④ 喘息の人にも使える
  2~30年前からしたら、本当に喘息の既往のある人が増えたと思う。
  内服の陣痛誘発剤は、喘息のある人には通常使わないことになっている。
  が、そもそもオキシトシンは、自然分娩の時みんな自分で大量に出すものだから。

ということで、点滴が誘導の最終兵器となっている。自然陣発がなく、これでも陣痛が来ず、42週になるようならもう帝王切開しかない。

点滴誘導の条件

始めるにあたっては当然条件がある。
1、赤ちゃんに問題がない。モニター所見で赤ちゃんが元気。
2.子宮口が柔らかい。
(少なくとも2㎝以上開いてるのが望ましい)

1がダメだとそもそも帝王切開コースだし、2を満たしてなければ前段階の風船内服から、ということになる。

私は2回分娩したが、1人目は促進分娩で、2人目が誘導分娩だ。
つまり2回ともこれにお世話になった。
促進分娩とは「陣痛は自然におきたが、途中で微弱陣痛になりこのオキシトシン点滴で陣痛を強くしてお産にもっていく」こと。ただ今思えば、ちょっと過強陣痛気味だったかもしれない(30年前だったからね)。これについてはまた後述。

2人目は41週になっても陣痛が来ず、ベビーはすでに推定3400g(私は身長152㎝)。
風船は抜けて終わり、内服も試させてもらったが不発。
3日目点滴。最初の3時間ぐらいはお腹は張ってるが痛い程ではない。
しかし破水してからはドッカーン!。痛いー!が来て(ベビーがメリメリと降りてくるのがわかった!)2時間で生まれた。いや~、いきなり効いてきますね、これは。

オキシトシン点滴の注意点

さあ、ここからが重要
一時期、なぜ陣痛誘発剤(促進剤)で医療事故が起きたか。

子宮筋はオキシトシンの作用で収縮するが、その強さは量に比例する。
多量に投与して子宮筋があまりに強く激しい収縮(過強陣痛)を繰り返すと、子宮筋の断裂(子宮破裂)や赤ちゃんの低酸素を招く危険性があるのだ。
問題になった医療事故はこれらである。

つまり徐々に増やしていくオキシトシンの量をどこで止めてキープするか。
少なすぎて陣痛が弱くても、お産は進まない。
強すぎず、尚且つちゃんと進行する量の見極め。これに助産師の力が問われる。

1.分娩は進行しているか
  有効とされる陣痛の目安は3~4分毎で60~90秒。
  誘導中は胎児心拍モニターはつけっぱなしなので(赤ちゃんの状態はこれでしか
  分からない)モニター所見やママの自覚症状をここまでもっていく。
  初産の順調な進行は、子宮口4~5㎝からは1時間に1~2㎝ずつの開大だ。
  進行が悪いなら原因を探りながら量を調節していく。

2.過強陣痛になっていないか
  1~2分毎の強い陣痛は、陣痛と陣痛の合間に赤ちゃんが休むヒマがない。
  特に子宮筋が収縮から完全に弛緩しないまま、次の収縮が来た場合だ。
  また、90秒以上の長い収縮も、子宮筋や赤ちゃんへの負担は同様である。
  そうなる前に増量をストップしなければならない。

  モニター所見も大事だが、私はママの自覚症状も指標にしている。
  それは「呼吸法ができるか」ということである。

  電気信号で筋肉を鍛えるEMSマシンをご存じだろうか。
  自分の意志とは関係なく筋肉が収縮する(私は昔、減量用に持っていた)
  これの強度が強すぎると、息ができないのだ。

私の1人目のお産の時、最後は収縮が強すぎて息が抜けず、子宮口全開はまだだったにもかかわらず怒責が入ってしまった。お産はすんだが、子宮頸管裂傷ができた。
息が出来ない(吐けない)ということは力が抜けないということである。全開大後ならまだしも、全開大前なら呼吸法の利点がすべて吹っ飛ぶ。

このオキシトシンは産科医療では福音であった。
これが無かった時代、私の母は私を産むのに3日3晩かかったし、私も2回ともお産がいつになったか分からない。薬は正しく使えば、素晴らしい薬なのだ(当たり前だが‥)
特に微弱陣痛には救いの神と言っていい。

私達(医師・助産師)はプロである。ちゃんと観察しながらとり行っている。
過去起きたオキシトシンの事故も「ありえない」「アンビリーバボー」である。
いろいろ書いたが、心配せずに必要なときは誘導や促進に点滴を選択して良い。

それでは次回は破水について。ごめんなさいませ。

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