母乳育児 成功への道 -実践編②授乳の始め方(入院中)-

「この病院は完母でやってますか」と訊かれる事がある。
 完母~完全母乳。母乳だけ(基本ミルクは飲ませない)のこと。
 母乳の利点はさんざん述べてきたし、そもそもミルクはヒトにとっては異物であるウシの乳だ。母乳がベストに決まってる。
 問題はすぐには出ないということ。選択肢は二つ。
 出るまで待つ出るまでミルクをあげるかだ。

結論:ミルクは育児のストレスを減らすことはできる

 ミルクを最初からあげるか、あげないか。選ぶのはママだ。
 今回はまず、ミルクを使いながら母乳量が増えるのを待つ方法の説明から。

入院中のミルクの足し方

 生まれて8時間後位から(必ずしもでない)赤ちゃんは哺乳を始める。
 初回は5~10ccのミルク5%ブドウ糖水を与え、徐々に増やす。
 基本3時間ごと、1日8回。(最初の何回かは病院側で飲ませる)
 1回の量は生後日数につれて増えていく。量の目安は少なくても生後日数×10cc位。(出生当日と1日目はその限りではない)
 例えば、当日~1日目:20cc。2日目:20cc。3日目:30cc。4日目:40cc。という感じ
 ただ、私達は1回の量より1日の量で、その子が飲めているか判断する。
 生まれて1週間位までは、昼間より夜間のほうが欲しがる傾向にある。
 1日の必要量の目安は単純に1回量に×8するだけ。

 赤ちゃんは生まれて1日目位までは体内に白血球が多くてあまり空腹感がないときく。
 確かに、お産直後あんなに一生懸命ママのおっぱいを吸っていた子が、翌日は眠ってばかりだ。飲ませたくても「起きません~」とママ。

 その昔「赤ちゃんは生まれながらにしてお弁当(皮下脂肪)を持ってきているので、2~3日はあまり飲めてなくても大丈夫」と言われていた時代があったが、現代では、
 赤ちゃんも血糖値の維持脱水の予防などのため、補乳、補糖水は必要とされる。
 1日目とか起きないのはお腹がすいてないのではなく、起きれないだけなので
「時間になっても寝てたら、起こして飲ませましょう」これはやってね。

 2日目位から、がぜん欲しがるようになる。鳥のヒナのクレクレ状態だ。とても3時間もたない。母乳もまだまだ足りない。あげる量や間隔に迷う時期。正解は無い。
「欲しいというならあげてみたら?」になる。
 ただ泣いているのが本当に空腹からならだが。

赤ちゃんの泣く理由

 赤ちゃんはなぜ泣く。永遠の命題だ。
 これの分かる装置を発明したら、わんにゃんの翻訳機と同様ノーベル賞もの。
 その状況に合わせて次のなかから選べ、になる。国家試験より難しい。
1.お腹へった。まだ足りない。
2.お尻が気持ち悪い(オムツが汚れてる)
3.(飲んだ後)ゲップが引っかかってる、もしくは溜まって苦しい。
4.吐きそ。
5.飲みすぎた、お腹パンパン。
6.眠たい。
7.どっか痛い?(便が出る時のお腹とか、分娩時にできた産瘤とか?)
8.暑い、汗だく。(寒い時は静かに冷たくなっている)
9.なんか不安(ママのお腹の中と違うよぅ)
10.ただただ不明

 新生児だけでもこれだけある。私達にも1,2以外はすぐには分からない。3はゲップが出て、4、5は吐いて泣き止んだら、6は寝たら「そうだったのね」だ。

 で、いろいろチェックして(7は注意して観察)状況からして1なら、少しずつ追加して微調整していく。
 デカい子ちゃんはその分多く飲む傾向にある。

罪悪感は不要!

 個人差はあるが、産んだばかりの初産婦はやっとにじむぐらいしか母乳が出ないのがほとんど。産後2~3日目になって一回に10~20cc程度。(経産婦はもう少し多い)到底赤ちゃんには足りない。
 こう書くと2~3日目でも数滴しか出ない人は
「どうして自分は出ないのか、何が悪いのだろうか」と思い悩む。
 悪いのは標準や目安から外れることを必要以上に気にする、という事です、はい。
 何事も極端に少ない人と極端に多い人が存在する。ただそれだけのことだ。

「おっぱい出なくてごめんね。」と泣く赤ちゃんにこれまた泣いて謝っているママがいる。(睡眠不足や、ホルモンの関係でブルーになり易いというのもあるが)
 その為にミルクがあるではないか。死にはしない、ちゃんと育つ。
 母乳育児の確立は長期戦だ。1か月健診でやっとミルクが要らなくなりました、もありだ。最初のうち、ちょっと位分泌悪くても「ごめんねごめんね~」ぐらいでよい。
 他人と比べることなかれ。

 母乳量の測定について
 ミルクならどれ位飲んだか哺乳瓶の目盛りでわかるが、分泌が増え始めた母乳は飲まれた量はわからない。そこで赤ちゃんの体重の差(飲ませる前と後)で見る。
 病棟には2g単位の赤ちゃん用体重計がたいてい置いてある。そこで母乳が出だしたママには母乳量測定をしてもらい、ミルクを追加するかどうかの判断材料にしてもらっている。産後1日目はほとんどの初産婦は0か2とか4の誤差程度。毎回測る必要はまだ無い。10g近くなったらちょくちょく測ろう。増えていくのは楽しい。(たまにママから奇数の測定値を言われるが‥。)
 その分追加するミルクは減らしていこう。ミルクはあくまで母乳の代用だからね。

退院してからは?

 今時はお産の入院は3~5日目で退院だが、初産婦は長めがやっぱりよい。夜間授乳の大変さに慣れてから。授乳期間て寝れないのが一番ツラい。(長男の時、断乳するまでは一度に5時間以上ぐっすり眠りたい、が私の最大の願いだった)

 退院して家にベビー用体重計がなくて、今まで母乳量測定していたママがとたんに不安に思ったりする。「母乳飲んでる量がわからなくて、足すミルクの量が分からない」

 産院で一日何回飲ませてた?8回~12回くらい?
 あいてた時間は?2~3時間よね。
 ならそうなるように赤ちゃんの様子を観ながらミルクの量を調整しましょ。
 1時間位で泣くなら、次は前回より少し多めに足してみよう。
 3時間でも起きないなら、こんどは減らしてみる。
 昼間は少なめミルクの合間にもちょくちょくおっぱい吸ってもらったり、夜はミルク多めでママもゆっくり寝たり。(ゆっくりといっても4時間以上はあけないよ)

 入院中は1日1日増えていった哺乳量も1週間を過ぎたら100cc前後で一旦落ち着いてくる。自分のおっぱいの張りぐあい、飲んだあとのスッキリ感との兼ね合いやミルクの量の変化をみながら、1日30g平均で1ヶ月健診まで体重が増えればいい。(わざわざどこかに体重測りに行かなくても、よく飲み、よく出し、よく寝てたら体重は増えてる)

 そして夜だけちょっと足していたミルクが無くても良くなったら、完母到達だ!

 昔は、すぐに母乳の出ないママのために、母乳のが出るまでもらい乳の風習があった。
 しかし、他人の母乳からの感染の恐れがある事から、今は先進国では禁忌だ。
 そのためミルクが無いと、欲しがって泣く赤ちゃんと一緒に泣くママが増えたのも事実。ミルク併用で、が主流になっているのもうなずける。

 が、ミルクの弊害も懸念され、出来るだけ飲ませない方針で行く産院を選ぶママがいるのも事実である。

 次回は出来るだけミルクは後回しにして、ストイックに完母を目指す方法を紹介しよう。
 それでは、ごめんなさいませ。

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