母乳育児 成功への道 -実践編⑥うっ積とは-

妊娠してから乳房は、その役目を果たすべく大きな変化をとげてきた。
乳腺は発達し、胸に少しの痛みを感じたり、かなり大きくなる人もいる。
そしてもう一度、乳房は産後の大変化を迎える。(乳汁)うっ積である。
うつ乳と呼ぶこともあるが、厳密にはうつ乳は母乳がうっ滞することで、うっ積とは異なる現象だ。ここではうっ積で統一する。

結論:上手に鬼をやりすごせ

うっ積って何?

実はもう母乳は22週目ごろからつくられ始めるが、ストッパー(女性ホルモン)がかかってて乳腺から分泌されない。体内に吸収されている。
分娩を終えストッパーが外れると「母乳を量産しなくては!」と乳房は目覚める。

ただ変化は徐々に進み、産後2~3日目にドン!とくる。多くの初産婦は3日目の夜だ。昨日まで(半日前まで)何ともなかったのに急に、胸が熱い→張ってきた→痛いとなる。多くのママが「母乳ができてきた!」と勘違いする。

何が起きてるかというと、乳房内にどっと血液が流れ込み交通渋滞をおこし(熱く、やや赤くなったり)、リンパ液などの体液むくむのだ。
もちろん母乳もでき始めているが、張りのほどんどはそれではない。

ママ達は熱く重く痛くなった胸を少しでも楽にしようと、ミルクを減らしせっせと吸わせるも、「飲めてないし、張りは良くならない!」。

このうっ積の程度も個人差があり、「ん?そういえばそんな感じ?」の人から乳房がガチガチに張って「胸にどんぶりを二つくっつけている感じ」の重症まで。
重症になると「痛くて触れない、腕を動かせない、寝がえりもうてない」
      「胸がうずいて眠れない」「お産よりこっちが辛い」とまで言われる。

この交通渋滞は24~48時間で緩和していく。母乳量が本格的に増えていくのはここからだ。母乳を出す為の一過性の通過儀礼みたいなものと思って。

うっ積は程度の差こそあれ、母乳を出す為には避けては通れない。
重症化しないように気をつけながら、鬼が通りすぎるのを待つしかない。
予防が一番だ。これは体質なので、経産婦は前回どうだったかでだいたい分かる。
前回大変だった!なら早目にしっかり予防策をこうじること。
だがうっ積の程度が自分はどうなのか、初産婦は分からないよね。
でも「来る」と知っているだけでも全然違ってくる。
とりあえずやるべきことを説明しよう。

うっ積予防の方法とおきた時の対処

1.お産後に甘いもの、高カロリーの食事はひかえる。
おっぱいには法則があって
その① 母乳の量や質はママの食べたものの大きく影響をうける
お産が終わって「お疲れ様、よく頑張ったね」と家族がケーキやМやK(テイクアウトできるお店)の食べ物を差し入れることがある。
が、ちょっと待って!どんなに好物でも、うっ積期間を通りすぎジャンジャン母乳がでるようになってからにして(まあこういう食品は授乳期間を通してお勧めはできないが)。これらはうっ積を早くおこさせ、悪化もさせる

2.赤ちゃんによく吸ってもらう。
うっ積が来る3日目まで、せっせと吸ってもらって乳腺の開口を進めよう。
うっ積は体液母乳の貯留だ。乳腺の開通が不十分だと母乳が出て行ってくれない。
また、溜まった血液やむくみが乳腺を圧迫して流れにくくもなる。母乳が溜まれば体液も流れにくくなり、と相乗効果で悪化する。
母乳産生はこの時期はまだまだのママが多いが予防策としては必要だ。

3.マッサージには注意する。
おっぱい法則 その② 刺激を与えれば母乳をもっと作ろうとする
というのがあり、ここで言う刺激とは「温める」「揉む」である。
栄養事情が悪かった昔(第二次世界大戦後ぐらいまで)産院で行う乳房マッサージは熱い蒸しタオルで胸を温め、よく揉むことだった。しかし栄養過多(カロリー過多と言った方がいいかもしれない)の現代では、その必要は殆ど無い。
逆にまだ乳腺がまだよく開通できてない早い時期に急激なうっ積を招くことがある。

今は少なくなったが、その昔のやり方を覚えていたママのおばあちゃんに勧められ、2日目にはもう胸が真っ赤に腫れた人などいた。
うっ積が来る前に自己流で乳房マッサージをしてはいけない。

ただ、した方がいいマッサージもある。
動かしていいのは乳房の根元、胸板にくっついている部分(乳房基底部)だ。ここは乳房にいく血管やリンパ管の通路があり、その部分を適度に動かすことで流れを良くする。
うっ積がおこる前から交通渋滞の予防をするということ。

やり方は「乳房全体を胸板からずらす」イメージで縦と横に動かす。ゆっくりとスライドさせる感じ。(よくわからなければ、SMC式乳房基底部マッサージを調べれば出てくるので参照のこと。)乳房全体をつかんで、優しく上下左右に揺らしても良い。これはうっ積がおきても続けること。
もちろん乳首のマッサージはやってかまわない。むしろ乳首もむくんで腫れた時は、しないと吸いつけないかも。

シャワーの際に熱いお湯を胸にあてるのも控えてね。

4.乳房を冷やす。
おっぱい法則 その③ 冷やすと母乳産生が抑えられる。
なるべく胸をパンパンにしないで通りすぎたいのだ。なのに乳房をに血液が集まるせいで乳腺は温められ、②の法則により母乳を過剰産生しようとする。
「いや、それはもうちょっと後にお願いします。うっ積がおさまってからね」
そこで熱くカンカンしているおっぱいを冷やす。
予防的なものや軽度なら水で絞ったタオルを乗せる。
触ってみて明らかに熱いようなら保冷剤を使う。乳房用アイスノンというのもある。

せっかく頑張ろうとしている乳腺に水を差していいわけ?分泌が悪くならない?
ならない。これが悪化してうっ滞性乳腺炎になった方が深刻だ。
お国によっては「絶対、何があってもおっぱいは冷やしてはならない」という所もあり、そういう外国のかたは、頑として受け付けない事もあるが。

たいていピークは一晩で、翌朝には緩み始めている事が多い。(1~4までのアドバイスを聞き入れてくれたらだが)この夜はお産の次にやって来る試練の山だ。
無事に超えることを祈る。

乳首のお手入れ:追加

ここで以前にお話しした妊娠中の乳首の手入れについての補足。

妊娠してからのおっぱいの変化で、乳輪にデコボコやブツブツができてくる事がある。これはモントゴメリー腺といい、授乳の時これから天然のオイルが分泌され、感染などから守ってくれる。
だから妊娠中はこの腺を傷めないように、「マッサージをしろ」と勧められても無視しよう、と書かれた記事もある。
私の勧める乳輪マッサージは、ゴシゴシしたりの皮膚上の摩擦はおきない。指でつまんで圧迫するだけである。全然影響がないと断言はできないが、初回授乳の時に赤ちゃんが吸いつけない方が問題と考える。
実際、柔らかく伸びそうな乳首のママには「何もしなくていい」と伝えてきた。
乳頭の入浴時の洗い方もナイロンタオルやスポンジは使わず、泡立てた泡で指でやさしく洗うだけで(でも必ずやってね)十分である。

それでは次回は乳腺炎について。ごめんなさいませ~。

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