年齢と共に年々髪は白髪が増え、コシが無くなり薄くなっていく。それは顔のシミやシワと同じく老化現象として仕方のない事で、私は当たり前の事として諾々と受け入れねばならないと考えていた。いわゆる『あきらめ』というヤツである。アンチエイジングと称して様々な美容サプリや育毛剤、はたまた白髪が無くなるというシャンプーなど巷に溢れ、それらはダイエット商品と並んで今や一大産業となって女性たちの「少しでも美しく見えたい]という悲しい願いに蜘蛛の糸を垂らしている。誰もがもしかしたらとその蜘蛛の糸をつかんでは切れて‥を繰り返しただろう。そしてその虚しい航海のはてに『あきらめ』という浜にたどり着くのだ。しかし。
長年の髪の悩みとの闘い
お肌のシワに関しては日々アンチエイジングの闘いに踏ん張っている私も、こと髪に関しては早々に白旗を揚げていた。なんせ若い頃からの頭皮の尋常性乾疹持ちである。
原因不明で自己免疫に関与していると言われるこれは、皮膚の異常増殖によりその部分だけ皮膚がポロポロと剥がれ落ちる。全身に出来たりもするが、私の場合はほとんどが頭皮に限局して頭の後ろ半分がこれに覆われている。20年前はそれでも髪が生えている所だけだったが、そこから徐々に拡大していき今は何故か髪の生えていない後ろの生え際から2~3㎝の所まで侵されている。したがってポニーテールなんぞしようものなら、うなじの生え際に添ってぐるりとUの字にカサカサの白いかさぶたが付いた赤い皮膚が丸見えになるのだ。
皮膚病というのは本能的に見る人に不快感をもようさせてしまうもの。ウイルスや細菌によって感染する恐れや不潔感を連想させるからだろう。私も仕事が医療関係だし「これは移るものでなくて‥」と一々周りに説明できるわけでないので、極力人様には見えないような髪型に苦労してきた。そして何より困るのはフケである。ちゃんと洗髪しているのに頭皮が粉雪のように肩に舞い落ち、黒や紺などの濃い色の服が着れなくなった。
その上酷いくせ毛でもある。頑張ってブローしても湿気のある日とかはぶわっと膨張し、収拾がつかなくなる。パーマ液や白髪染めは滲みて痛い(若い時はそこまで酷くなかったのでストレートパーマをかけていた)。流さないヘアトリートメントや整髪剤を使うのもどうも頭皮に悪く痒くなる。結局結べる長さにして緩く結ぶという現状だ。きっとちゃんと隠せてはいないに違いない。ゴ○ゴ13ではないが「後ろに人を立たせないぞ!」とするしかないのか。きっと優しい方々は見て見ぬふりをされているのだろう。それでも結べない長さのくせ毛が勝手に立ち上がっては全体的に乱れ髪の様相となり、人様に「走ってきたの?」と訊かれる始末。
髪は顔の額縁といわれ、これが乱れていては印象も2割落ち。ところが。分かっているのにどうしようもないジレンマをずっと抱えてきた私に転機が訪れたのである!
してはいけないこと。それは薬に頼るのと諦め
忘れていた。基本に戻る事に。美は健康からという事である。今まではどうせ治らないのだからと、ガサガサのうなじを恥じて何とか隠そう隠そうとしていた。そして症状が酷い時は皮膚科から出してもらったローションや軟膏を塗った。これらはステロイドが入っているので一時の気休め、長くは使い続けれないと分かっていても。風邪の時の風邪薬と同じである。症状を抑えるだけで治癒する者ではない。治すのは自分の身体の力でしかない事をこの尋常性乾疹に関してはすっかり忘れていたのだった。
きっかけはワセリンだった。ワセリンは石油から精製した保湿剤だ。石油が原料というと何かアブナイ印象がするが、精製の段階で肌に刺激の強い不純物はほとんど取り除かれているので赤ちゃんにも使える。ワセリンは薄い油膜を張って水分の蒸発を抑制し摩擦を防ぐ。軽い傷に塗ればその膜の下で治癒が進むという優れもの。ほとんどの軟膏はこれに有効成分を混ぜたようなものなのだ。高齢者の入浴後の保湿に使ったり軽い床ずれに使ったりで大活躍である。私は仕事でこの万能軟膏を知って皮膚科からプロペトを処方してもらった。
ワセリンは精製の状態で4段階に分かれ、精製の最も低いものを黄色ワセリン、次は白色ワセリン(薬局でよく売っているのはコレ)、そして医療現場で良く使われるプロペト、精製ワセリンと続く。
尋常性乾疹は『接触刺激』も関係するらしく、テーブルに付く肘や床に付く膝に(ベッドに寝ている患者さんと話す時は膝を付いて目線の高さを合わせるのは看護の常識なので)たまに円形のカサカサさんが出来る。私はまずプロペトを肘や膝の尋常性乾疹さんに塗ってみたのである。最初はこれを塗る事でカサカサを隠すのが目的だった。
ここまでの流れで結果はだいたいお分かりだろう。そう、丸いコインのようなカサカサはきれいさっぱり無くなった上、肘や膝の角質も軟らかくなり黒ずみも無くなったのである!つまりこの湿疹には強い摩擦と乾燥がよろしくない大きな要因だったのだ(他にストレスとか食べ物とかあったとしても)。
効果抜群!?それとも気のせい?
ワセリンをはじめとする色々な保湿剤についてはまた別の機会にお話するとして。
とにかく「これはうなじにも効くかも!?」と期待に胸を膨らませて、私は洗髪後と朝の1日2回うなじの生え際に塗ってみたのだった(さすがに髪が生えている地肌にはムリ)。数日後。あれれ、あんまりかさぶたが出来てない⁉いつもは白くフケの親分の様なかさぶたがなくなっていてそこには赤いアザの様な皮膚が見えるのみ。いや、かさぶたが油分で透明になって見えにくくなっただけか?
しかしそうであっても私は狂喜乱舞した。赤いアザだけでも普通ではないのだが、想像してほしい。例えば足に500円玉ぐらいの赤い痣があったとしよう。でもその痣に白いかさぶたがビッシリついていたら?見た目の気持ち悪さはアザだけのときの100倍である。
考えてみれば私は常日頃、そのかさぶたが気になって無意識にむしっていた。その刺激でまた悪化して、の繰り返しだったのか。今はむしったり掻いたりしてない、いやしなくて済むので、それも改善要因になったのだろう。ワセリンはタダの油性保湿剤である。皮膚の水分を逃がさない様に膜を張るだけだ。だが、その膜の下で身体は自分の不具合をせっせと治そうと頑張っていた。私はそれを掻いたりむしったりの刺激で邪魔していたのかもしれない。
塗り始めて1週間、そのアザ風の赤味も何だか薄くなっていってるような♡。何よりシーツや枕カバーに粉雪の様に落ちていた白いフケが格段に減ったのが嬉しい!今の所は万々歳な結果である。
これがぬか喜びになるかはまた今後の経過報告にて。そしてくせ毛がどうなったかも。
そうして今度は、この先は部分かつらに頼ろうかなと諦めていた薄毛に対しても(髪さま、ありがとうのその1を見てね)ムクムクと「諦めてなるものか!」の気持ちが湧いて出たのであった。
それではまたね。ごめんなさいませ。


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