先日訪問先の95才になるお姉さま(おばあさん、もしくはおばあちゃんという言い方は好きでない。60過ぎた私もそう呼ばれておかしくない年ではあるけどね)から「あんた、この仕事をしてるけど手がキレイやねえ」という言葉を頂いた。私の仕事は訪問看護である。患者さんのお風呂の介助をしたり身体を拭いたりは毎日の事で、ある意味水仕事でもある。しかもこのご時世、頻回の手洗いとアルコール消毒も必須。手がガサガサに荒れても仕方がないところだろう。ところが自慢じゃないが(いや、自慢だろ?)私の手にはシミもカサカサも無い。
美白ブームはいつから?
何故先ほどの高齢のお姉さまがそういったかと言うと、ご当人の腕には肘から先に無数の茶色のシミがあり、まるでまだらの長手袋をしているような感じなのである。背中などは眩しいほどに白くシミ一つ無い、年齢不詳なほどに美しいのに。両手共がそうなので、どうしても自分でも目に付く。お会いする度にしみじみとご自分の手を見ては「こんなに汚くなって」とこぼされる。そしてこのシミは明らかに紫外線のせいだと私は考えるのである。
クッキリと七分袖から出ている(又は袖をまくっていた)部分だけに集中しているシミ。お若い頃から暑い夏場も屋外で働いておられただろう。いや、あの時代の方々は皆そうだ。戦中戦後のあの生きるだけでも大変な時代に誰が腕の日焼けを気にしただろうか。茶摘み娘など職業上服装や帽子で完全防備にはしていただろうけど、あの頃は日焼け止めクリームなど無かっただろう。
思えば美白がブームになって顔以外に日焼け止めクリームを塗る様になったのは今から30年程前からではないだろうか。そのちょっと前までは逆に夏の小麦色に焼けた肌がもてはやされた時代もあったし(前田美波里さんや夏目雅子さんのCMポスターを覚えてる?)。私も20代の時に沖縄旅行に行って真っ黒に焼けて職場の同僚から『チビク○○○ボ(これは漫画の主人公なのだが、この呼び方が人種蔑視と言われてるそうな)』と呼ばれた思い出がある。そもそもその頃までは日焼け止めは夏場だけの物で、一年中紫外線を防止するなんて観念はなかったのだ。
紫外線の害が肌を焼いたりシミや黒子のもとになるだけではなく、シワやたるみの原因になると周知されて女性達は一気に日焼け止め商品に走った。今や「冬でも室内でも紫外線は入って来るからステイホームでもちゃんとUVクリーム塗りましょうね」と化粧品会社は喧伝している。
一番無防備なのは手
確かに先ほどのお姉さまの背中は素晴らしかった。背中はほぼ常に服に守られて紫外線や乾燥などの害を一番受けにくい所。大きな筋肉もあり、胸やお腹より贅肉がつきにくくて皮膚もたるみにくい。生涯を通じて守ってあげれば90年以上も皮膚はこんなに美しいままなのかの実証である。そうして一番守られないのは手なのである。
私が手に注目したのは20年程前、一人の同僚の手の甲にシミに気づいてからである。高齢の方々には老人斑が手の甲にもよく見られたが、まだ40代で同年代なのに明らかに多い。それとなく原因を探るとどうやら趣味が家庭菜園であった。日常的に草取りなどもしていて、もちろんその度毎に手袋したり手に日焼け止めを塗ったりはしていない。「ほんの30分か1時間ぐらいだから」の家庭菜園だからである。これが農家の婦人達であれば帽子や手袋などの装備はしっかりされただろう。
家庭菜園以外の例もある。別の知人でまだ30代半ばなのに手の甲にシミがある。彼女の場合は自転車通勤である。私の「当然、年中手袋はして自転車に乗ってるよね?」に対する答えはノーである。手袋するのは夏の日差しの強い時と冬の寒い時ぐらいだそうだ。えっ何で!?
30代前半まではまだ新陳代謝が活発で、肌のターンオーバーも速く紫外線で出来たメラニン色素も速やかに排出されるが、30代半ばも過ぎるとそうもいかない。アラフォーからは若い時の無防備なツケがあちこちに出てくる。
まだ間に合うか⁈
私はそれから朝化粧する時「顔と同じに手の甲にも塗る」という事を実践し始めた。BBクリームもしくはUVをクリームを顔に塗った余りを手の甲に塗るだけなんだけどね。このひと手間が大事なのだ。そして車の運転の時は極力手袋(指出しだけど)をする!幸い私の手の甲にはまだシミは無い。残念ながら顔の方には間に合わなかったシミがあるけどね。
何度も言うが皮膚を美しく保つために外側から出来るコトは紫外線防止と保湿。水仕事する度、アルコール消毒する度のハンドクリームも欠かせない。肘から先の腕の部分も脛と同様冬はカサカサになりがち。私は朝起きるとコーヒーメーカーがコーヒーを淹れてくれている間に顔、首、手足に保湿するのがルーティンである。
60代ともなれば、それでなくとも手には小じわが増え血管が浮き出てくる。(ふくよかな方はその限りではないが、それはそれで他の部分がう~んである。)それでも笑う時に口元に当てるわが手は、いつまでも綺麗であれと願うばかりである。
それではまたね。ごめんなさいませ。


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