訪問看護日記 2.食べないこと

 人間が人間らしく生きていくには日常で様々な事をこなして行かねばならない。年齢やお国柄でやる事は違ってくるだろうけど、どんな人もしなければならない事は『食べる』『睡眠(休息)』『排泄する』である。まあこれは人間だけでなく、ほとんどの生物がやってる事。これに人間らしくが加わると、その定義の解釈が中々に難しい。その人(もしくはその家族)によって様々だからだ。それが日本の一般家庭であってもである。そして今回は食べる、いや、食べない事に関しての話。

日本人は飢えが怖い⁈

 まずは前述の3要素が出来ているかどうか。私達看護師が最も気にするところだ。最低限これしか出来ないのがいわゆる植物人間と言われているよね。この状態を人間らしいいう人はいないだろうけど。でもこれさえ出来なくなる時は‥生命活動の終わり、死である。

 食べれなくなった時。口や食道を含む消化器官の異常(癌や傷害など)や精神的ショックを除いて高齢で理由なく食べれなくなってきたとき、それは生命体として栄養を必要としなくなったと日本以外の諸外国では認識されるらしい。

 私が思うに、日本人は戦後の復興をとげてからは飢餓の経験が無いせいか、はたまた食品業界の宣伝に長く洗脳されてか「食べない」ことを異常に恐れている気がする。昨今有名人が1日1~2食をやっててファスティング(絶食療法)などはやっと認知されてはきたが。

 知ってるだろうか。日本人は元々長い間朝・夕の1日2食がスタンダードだったことを。1日3食になったのは江戸時代だと言われている。江戸で火事が多発したため大工などの多くの職人が江戸に流入した。肉体労働の彼らは1日2食ではとてもカロリーが追いつかなくって昼にも食事を始めたんだってね。それから徐々に3食習慣は広がっていく。だからと言って当時の1食は今の様に盛りだくさんではなかったはずだ。

コロコロ変わる栄養の常識

 昔、朝ごはんを食べない児童は成績も悪くなるとか、お相撲さんは朝ごはん抜きだから太るなどの研究結果が発表されて『朝ごはん抜きは悪!』というのが常識となった時代があった。そもそも成長期の子供は3食以上でもいい。なのにちゃんとした家庭が3食が当たり前の時代に朝ごはん食べてないのは家庭になんらかの問題ありじゃない?と思うし、お相撲さんだ太っているのは大量にカロリーを摂っているからだ。体脂肪が少ないお相撲さんを太っていると言うかどうかは別として。

 アメリカで「朝食をちゃんと食べましょう!」でシリアルが推奨されたのは完全に食品業界の都合である。私も若い時はビタミン、ミネラルが最初から配合されカロリーもコントロールできるシリアルを自分も子供にも食べさせたものだ。しかし。シリアル製造販売関係者には悪いが、シリアルは腹持ちが悪く糖分が多い。つまり食べないより食べた方がすぐお腹が空く。お菓子と同じでとてもバランスの悪い食品だ。おやつとして食べるなら問題ないけどこれに牛乳かけるだけでは足りないものが多すぎる。しかもお高い。箱が大きくゴミが出るし原材料や添加物が気になるし(いろいろ言ってごめんなさい)ということでもう買ってない。

 そしてアメリカの戦後政策で食生活をむりやりパン食にシフトさせられた日本人は、毎日テレビで宣伝されている健康的で幸せそうに見える朝食風景に憧れて、パン、乳製品、ハムやソーセージの加工肉、栄養価の低い生野菜サラダ(どうかしたらコンビニやスーパーのカット野菜!)を食べている。いや、健康にはならないでしょ。これでは食べない方がマシである。

 栄養に関しては過去様々な嘘がまかり通ってきた。骨粗鬆症予防に牛乳を、卵はコレステロールを上げる、マーガリンなどの植物油はバターより健康にいい、など。全部ウソだった。先進国、特に日本は飢えない代わりに多少の毒(たとえばユルユルの食品添加物規制や世界でトップクラスの使用量の農薬)を食べてもゆっくり死ぬことを選んだのだ。

自分の身体の声を聞く

 何を食べるか、でなく何を食べないかを考える時代に入っていると私は思う。

 そしてそのことを提唱している人の中には、単純に1食減らす事を提案している。現代では安心な食事を用意する手間だけでも大変だし、食べなければ入って来る毒もそれだけ少ない。長い人類の歴史で、人間は空腹時が一番身体も頭も働くように進化している。実際私も2食にして体重も体調もすこぶる良い。

 ところが高齢者を介護している家族は1食でも食べないと「ばあちゃんがご飯たべんかった!」と大騒ぎする事がある。(まあ、せっかく作ったのにどうして食べない⁈という部分も‥)小さな子供や高齢者はいっぺんには多く食べれないので、小分けにちょくちょく食べる必要があるだろうが、食べたくない時は食べなくて良いのではないだろうか。消化には大変なエネルギーを消費する。だから病気の時はそのエネルギーを節約して食欲を無くし、病魔と闘う方に充てるというし野生動物はそうしてる(もちろん回復期には食べてね)。食べたくない時食べない分、食べる時にはバランスの良い安全なモノを食べたらいいのである。ただ食欲中枢を狂わされている人はそこの矯正からだけど。

 もちろん食べたくなくてもちゃんと栄養をとらねばならない時もある。例えば貧血やつわり、ガンの時の悪液質のときとか、何にでも例外はある。でもよく問題に上がる胃ろうなどの処置はどうだろう。元々胃ろうは病気や傷害で口から食べれない比較的若い人のための処置として開発されたと聞く。ところが日本では意識もなく嚥下が出来なくなった高齢者にも多く施されているらしい。そしてこれは欧米では考えられない事らしい。あちらでは食べられなくなった時は神に召される時。実にシンプル。それが人間らしさと認識されている。あなたはどう思う?

 私もいつかは食べられない時がくるんだろうなあ。食べる時は食べられる幸せをかみしめながら、今朝は焼いたばかりの米粉パンを食べる事にしようっと。

 それでは、またね。

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