お産が始まったら何をする?その⑩ -安産でGO!-

「やったあ!やっと生まれた!」
よろしゅうございました。おめでとうございます。
‥しかしここで終わらない、残念ながら。

むしろ助産師にとってはいや~な『三ノ関所』が残っている。
は?いきなり出できたね、関所。と思ったあなた。
説明しよう。
『一ノ関所』は排臨ぐらいで、よっしゃ、これで自然分娩じゃあ!のとこ。
『二ノ関所』は赤ちゃんが生まれて「フギャー!」と元気よく泣いたとき。
どんなにお産がスムーズでも最後の最後で赤ちゃんの状態が変化することがある。
出てきて泣くまではホントわからないのだ。
赤ちゃんが青白くだらん、として出てきた時の恐怖。背筋が凍る。
どんなホラーより恐ろしい(その後の蘇生で大方は息しだすが)

で『三ノ関所』は分娩第四期出血だ。そこで、まず結論。

産後の出血は子宮収縮で止めよ

産後異常の一番は出血

あれ?前回まで第二期の話だったよね?第三期は?
そう、第三期は赤ちゃんが出てから胎盤がでるまで。時間にしてだいたい5~20分。
まあこれもなかなか出てくんないて事もあるがまれなんで割愛。問題は出た後。

産科学の試験には必ず出るといっても過言ではない。
≪妊産婦死亡率の原因一位は何か≫  分娩後出血である。
昔ほどダントツではなくなったらしいが。

なぜ出血するのか。出血の原因も多々あるが、もっとも代表的なのが弛緩出血だ。
子宮が弛緩したままダラダラと出血する。

そもそも子宮の内側には大きな胎盤(直径20㎝前後)がへばりついてて、これはママから栄養や酸素をもらい、赤ちゃんの老廃物を渡すという物流センターになっている。
そのすべてが血液を介して行われるので、胎盤と子宮は無数の血管でつながっている。
赤ちゃんが出たら不要になった胎盤もはがれて出てくるのだが、そのままだとさっきまでつながっていた子宮側の血管がポッカリ開いたまま。
それだとそこからジャンジャン出血するので、子宮はぎゅうぅと縮んで血管をつぶし止血する。で、子宮がちゃんと収縮しきれなかったのが弛緩出血というわけだ。

この出血、胎盤出た後あっという間なのよね。あれよという間にまるで水道の蛇口をひねったかのように血が流れ出る。
一応胎盤が出たら直ぐに子宮収縮剤を点滴に混入して一秒でも早く収縮させる(その為の事前点滴)するが、出血はするときゃする。誰にも止められない。

まったく予測無く、の時もあるがある程度そうなるかも‥と思う条件もある。
     ①長時間のお産で子宮が疲労している。
     ②分娩前から微弱陣痛で子宮の収縮力が弱い
     ③赤ちゃんが大きい~胎盤も大きく剥離面が広い。子宮も大きい。
     ④経産婦なら前回も出血が多かった。
     ⑤妊娠性高血圧
     ⑥重症貧血

必ずしもこれらの条件でなる訳ではないが備えあれば憂いなし。

弛緩出血になったら

子宮の収縮はオキシトシンという子宮収縮ホルモン(子宮収縮剤の内容はコレ)の分泌とそれに子宮筋が反応できるかによる。
つまるところ、医療的にはオキシトシンをガンガン入れて、子宮マッサージや冷罨法(保冷剤で子宮を冷やす)などで、子宮筋さんお願いだから反応してねと祈るしかない。あとは子宮や産道のコアグラ(血のかたまり)を取り除いたり、導尿したり(膀胱がオシッコでパンパンに膨らんでると子宮が収縮できない。また出血多量でフラフラしてトイレに行けない)。

多くのケースで産後2時間内でこの多量出血を含む産後の異常が発症するので、これを第四期と定めている。この時期まではまだ分娩室で様子観察、異常が無ければここでやっと点滴が抜かれ病室に移される。

今までに何回か収縮剤の点滴抜いてから出血しだして、3時間値(産後は1時間値、2時間値と出血や状態を観ていく)で大出血、ということがあった。私はそれを3時間ショックと呼んでる。(私の造語。ママがショック起こすのじゃなく、私がショック!だから)

出血がいつ止まるかは誰にも分らない。すぐ止まる時もあれば、昼間お産して一晩かかるときもある。ともあれ点滴抜いたときが止まった時と思っていい。

ついでに他の原因の出血はというとキズ(裂傷)からのもの。
膣や会陰のキズの出血は大した事ない。が子宮口(子宮頸管)の裂傷で運悪く血管切れた時は大出血の可能性がある(と習った)。だから全開大までは絶対にいきませてはなりません(と習った)。が助産師になって38年、運良く私はそれに遭遇しなかった。

ま、病院でお産すればこれらの出血で死ぬことはない。別の原因での死に至るかもしれない出血はあるにはあるが、非常にまれだ。

あなたに出来ること。
1.初産婦は病院で産もう。助産院の同業者には悪いが、この人は病院じゃなかったら危なかったというケースを多く見てきた。
すっごくお産の軽い人もいる。サラッと産んで、出血もほとんど無い。
そういう経産婦は助産院でも自宅でもいいかもしれない。
しかし初産婦は何があるかわからない。
だからといって怖くなって大学病院に行く必要はないから。何かリスクがあって紹介されたんじゃなければね。

2.体重を出来るだけコントロールし、肥満を避ける。肥満はいくつもの理由でお産の難易度を上げる(わかってるけどね~。難しいのよね~)
甘いもの(特に菓子パン)とジャンクフードからは逃げまくれ。
初産婦で仕事してて産休に入ったら、是非栄養の勉強を!
産んでからはそんなヒマは無くなるんで。

3.貧血は改善しておこう。食品からが一番だが、取りあえずサプリでも可。

それでもなったら、交通事故です。はい。

今回も(?)いろいろコワい話だったかもしれないけど、ここに来るまでに大きなプレゼントがあったはず。

大きな困難を乗り越えた達成感
赤ちゃんに会えた喜び

この何ものにも代えがたい宝物は、その時あなたのものなのだ!

それでは次回(まだあるの⁉)
「胎盤出たあとどうなるの?」(うそタイトル。お産が~⑪デス。)で会いましょう。
ごめんなさいませ。

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