60才からの美容術 ㉞80%を目指せ!

 歌はアンチエイジングに良い。口周りの筋肉や舌を使い、肺にしっかり酸素を入れる。カラオケではなく、コーラスや声楽をするなら、腹筋やしっかりとした体幹も必要なので自ずと鍛えようともする。みんながみんなではないが。
 何より頭の体操になる。わざわざ脳トレのゲーム機を買わなくても、音階とリズムに気を付けながら、歌詞をつける(覚える)という事だけでも、簡単ではない。ボケているヒマはない。
 しかし芸術と名のつくものは何にしても奥は果てしなく深く、進歩はミクロ、続けている限りは悩みは尽きないもの。声楽も例外ではない。

100%は目指せるのか⁉

 昨日は私が所属している声楽の会の発表会だった。前回の発表会から参加しているが、今回はコロナの関係で参加者が少なく、一般公開せず身内だけに披露する形となった。当然会場も小さい。
 もともとこの声楽の会は合唱団内で、自分のボイストレーニングを合唱団の先生にしてもらうものだった。(まだその合唱団自体は活動再開していない)なので、練習は月に1回あるかなしか。それでも発表会では一人で1~2曲ずづ歌うことになる。コーラスのようにごまかしはきかない。

 何を歌うかは先生と相談してだが、多くはイタリア歌曲である。(高齢の方は日本語の曲だったりもするけど)イタリア語はドイツ語やフランス語の様に鼻にかかったような中途半端な発音が少なくて、まだ歌いやすいほう。巻き舌はあるが。

 オペラ好きの私はオペラ曲を希望したら、なんと「カルメン」を歌うことになった。有名な『セギリーディヤ』である。おお!やった!と思ったのは束の間。それから私は何か月もフランス語の発音に苦しむことになるのである。
 そして本番1ヶ月前になって、「他の人は2曲やるから」と『ハバネラ』が追加となった。ええっ!いや、1ヶ月前からでも出来ると思って下さったのは嬉しいんですが、時期が悪いっすよ~、先生。

 丁度、声楽の発表会の10日前が劇団の公演日。劇団の準備や練習にかまけて歌の方の練習にどうにも身が入らない。ようやくお尻に火が付いたのは一週間前である。最終練習で、他の人は2~30分で終わるレッスンが1時間以上もみっちりしごかれた。よっぽど仕上がりが悪かったのだろう。

 発表会で人様にお聞かせするのであれば、自分の100%を目指したい。一応練習に時間もお金もかかっている。いい加減じゃもったいなさすぎる。

 だが、前日のピアノ合わせも惨憺たる有様。『ええと、ここはもっと伸ばして、ブレス(息継ぎ)はここでして、ここはクレシェンド(段々大きく)で‥』と注意されたところを思い出しながら歌うも、全部できた試しがない。たとえ、注意点を全部覚えていても出来る訳でもないのだが。

 それよりも自分の中で問題なのは『カルメンらしく』歌うということだった。(歌も満足に出来てないのに100年早いと言われそう)
 奔放で妖艶なカルメン。舞台に突っ立ってあれやこれや間違わない様に緊張した顔で歌うなんて、いかに先生の指導通りに歌えたとしてもいかがなものだろうか、と。
 他の生徒さんがたもほとんど身振りなど付けない。そういう歌ならいいだろう。演歌じゃないんだから。また、オペラ曲を歌う人の中には身振りをつける人もいたが、それはしっかり歌が歌える上級者たちである。

 カルメンなんだから、多少の表情や身振りが必要なのは言うまでもない。しかし、ちゃんと全部を失敗無しに歌う成功率が低いギリギリ状態の私が(先生は、3割バッターでプロ野球選手なら一流なのにと)この上身振り手振りしたら、歌への集中は当然薄くなる。はて、どうすべきか。

100%(完璧)は存在しない

 結論。先生から受けた注意を100%達成するのを諦めたのである。歌は80%を目指し、あとの20%は自分なりにカルメンとなって100%に近づけよう、と。
 100%完璧を目指すというのは自分に失敗を許さないということだ。もちろん失敗は無いにこしたことはないが、それで緊張したら持ってる力も出ないのでは。今一度問う。
 何の為に歌うのだろう?何の為に歌を聞いてもらうのだろう?

 パレートの法則を知ってる?有名な80:20の法則だ。色々な例えで使われる。
 メーカーの80%の利益は20%の商品から出ている。
 会社の80%の重要な仕事は20%の社員でやっている。
 世界の80%の富は世界の人口の20%の人が所有している。など。

 この法則からしたら、例えば気を付けるべき点が100個あったとしても、その中の最重要な20個ができていれば、クオリティの80点がとれるということになる。(そんな単純なモノではないと重々承知だけど)私は『カルメン』に振り付けをしたのである。
 あんなに熱心にレッスンしてもらったのに、先生ごめんなさい。でも、受けた注意はけっして無駄にせず今後につなげていきますから今回は許してくださいませ。

 かくして、本番では赤いバラを振り回し歌うカルメンがいたのだった。当然あちこち失敗をやらかし(歌詞が飛んだ~!でもフランス語なんで、知ってる人にしか気づかれなかったらしい)80%を目指したつもりが、歌に関しては50%か?という出来。まあ、カルメンに見えたと友人からは言ってもらえたので、それをあと30%にしてもらうことにしようっと。

 でも、楽しかった~!! これが一番である。

 しかしその晩、昼間に大量放出したアドレナリンのためか、夜中の3時まで頭の中でカルメンの曲が鳴り響いていたのであった。

 それではまた次回。ごめんなさいませ。

 

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